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よろず屋の猫

『マーダー・プラン』 J・ケラーマン

安楽死の幇助を行っていた「ドクター死(デス)」ことメイト医師が、自ら考案した死の装置上で惨殺死体で発見される。
臨床心理医アレックスが友人マイロ刑事とともに事件を追う。

原題『Dr. Death』 講談社文庫


感想の前にちょっと・・・。
最近は文庫本も活字が大きくて、目の疲れ→肩こり→頭痛が持病のようになってる私には助かるんですけど、ちょっと行きすぎじゃないですかね、講談社文庫。
ものすごーく厚い、または上下巻にイヤになっちゃうんですが。
なによりバッグにちょっと入れてといかないのが難点。

途中で読むのが苦痛になることがないし、面白いんですが・・・。

『大きな枝が折れる時』でデビュー、幼児虐待ミステリー作家などとも呼ばれてますが、好きな作家さんです。
シリーズが長く続くと、初期の良さがすっかり消えうせて、読むのは同窓会に出るような気持ちと、惰性、と言う場合もままあるのですが、ケラーマンの場合はある程度のレベルは保っていました。
ですが『クリニック』『モンスター』では、「どうしちゃったんだ、ジョナサン・ケラーマン。」だったので、この『マーダー・プラン』では持ち直したかなぁ、とは思います。

なんですが・・・、うーん、「これは良い作品です、読まないと損。」のレベルにはちょっと・・・。

メイト事件から派生して、メイトに安楽死させられた女性の家族が出てきて、アレックスの活動はもっぱらこっちに重きが置かれます。
母がなくなったことにより、兄妹が精神的に痛手を負っていて、その治療に当たるうちに家族の問題を浮き彫りにしていくところなど、なるほどケラーマンなんですが。
私が好きな初期の作品は、アレックスが子供によりそって助けてあげたいと思っている気持ちが伝わってくるんですね。小説自体もその過程が丁寧に書かれている。
一方『マーダー・プラン』はあくまで謎解きがメインで、子供に対する姿勢はサイドディッシュって感じがします。
その点が私には物足りないんです。

好きな作家さんにはどうしても多くを求めてしまうので、評価が辛くなってしまいますね(笑。
このブログで取り上げた某ミステリーロマンスよりは、私はよっぽど面白いと思ってるんですけどね。

この作家のものを読むなら、先ずは『大きな枝が折れる時』、そして私が一番好きな『グラス・キャニオン』がお薦め。
古いですが(笑。


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